« 宅建試験/昭和63年から平成28年までの「試験問題(過去問題)と正解番号表」について | トップページ | 宅建試験・管理業務主任者試験対策/試験の難易度と試験問題の難易度について その1/2 »

2012年12月 9日 (日)

管理業務主任者試験の平成24年本試験問題・問6について

本試験の翌日以降、管理業務主任者試験の本試験問題の解説をポッドキャストとYouTubeにて行っていましたが、問6の予想正解番号を3(1)としていた事から質問をいただいていますので、梶原塾の考え方についてブログ記事にして回答します。

尚、本試験問題の正解番号を決するのは試験実施機関ですから、合格発表まで待つしかないです。
この記事に関する質問には回答しませんが、コメント欄へのコメントは歓迎します。

以下、肢(ア)を中心に平成24年・問6の各肢について検討します。(下記問題文全文を参照のこと)

●肢(ア)について
【問題文】
(ア) 請負も委任も、いずれも諾成の双務契約である。


【解説】
請負契約は、諾成契約で双務契約ですので、この点は正しい記載となります。
一方、委任契約は、諾成契約で、原則として無償・片務契約ですが、例外的に報酬の特約をした場合は有償・双務契約となりますので、「・・・委任も・・・諾成の双務契約である」旨の記載が誤りとなります。
したがって、委任についての記載が誤りですので、肢(ア)は誤っているものと判断できます。

【参照条文】
第643条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
第648条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。


また、平成13年の問1で正解肢となった肢1において、同様の出題がされていることからも、肢(ア)を誤っているものとしないことには無理があります。

【平成13年-問1-1の問題文】
契約類型の説明に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 委任契約とは、一定の事務を処理することを委託する契約で、原則として報酬のある有償、双務契約であるが、特約があれば報酬のない無償、片務契約とすることもできる。(×誤り)



さらに、肢(ウ)の問題文の「受任者は報酬を受けるべき場合」のような記載が問題文に無いことから「報酬の特約をした」場合だとは考え難いです。(この点については下部で更に検討しています。)


●肢(イ)について
【問題文】
(イ) 請負においては、請負人は請負に係る仕事を第三者に行わせることはできないが、委任においては、受任者は委託に係る法律行為を第三者に行わせることができる。


【解説】
前段部分について、請負契約においては、請負人は請負に係る仕事を第三者に行わせることができますので、誤りの記載となります。
後段部分について、委任契約においては、受任者は委託に係る法律行為を第三者に行わせることはできませんので、誤りの記載となります。
尚、委任契約において例外的に復委任が許される場合がありますが、この点は考慮しなくても良いと考えられます。
したがって、少なくとも前段部分が誤りですので、肢(イ)は誤っているものと判断できます。


●肢(ウ)について
【問題文】
(ウ) 請負人は、仕事の目的物の引渡しと同時に報酬の支払いを請求することができるが、受任者は報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後に報酬を請求することができる。


【解説】
前段部分について、請負契約においては、仕事の目的物の引渡しと報酬の支払いは同時履行の関係にたちますので、正しい記載となります。
後段部分について、委任契約においては、報酬の特約をした場合は有償・双務契約となりますが、この場合、受任者は、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができませんので、正しい記載となります。(事務終了後の後払い)
したがって、前段部分と後段部分のいずれについても正しい記載ですので、肢(ウ)は正しいものと判断できます。


●肢(エ)について
【問題文】
(エ) 請負は、各当事者がいつでも契約を解除することができるが、委任は、委任事務の履行の着手前に限り、委任者のみが契約を解除することができる。


【解説】
前段部分について、請負契約においては、「各当事者がいつでも契約を解除することができる」旨の規定はありませんので、誤りの記載となります。
後段部分について、委任契約においては、「各当事者がいつでも契約を解除することができる」旨の規定がありますが、本肢では「委任事務の履行の着手前に限り、委任者のみが」となっていますので、誤りの記載となります。
したがって、前段部分と後段部分のいずれについても誤りですので、肢(エ)は誤っているものと判断できます。


●正解番号の判断について
以上の検討から、肢(ア)・肢(イ)・肢(エ)の3つの肢が誤っている肢であると判断できます。
本問は「誤っているもののみの組合せはどれか」という設問ですので、これを「1」~「4」の組み合わせに当てはめてみると、「1 (ア)・(イ)」と「3 (イ)・(エ)」が該当することになります。
試験問題冊子の表紙の注意書きによると、「答は、各問題とも1つだけです。」とありますので、「1 (ア)・(イ)」と「3 (イ)・(エ)」のいずれかに解答番号を決しなければなりません。

そこで、肢(ア)・肢(イ)・肢(エ)の3つの肢について更に検討すると、委任契約については、現在ではほとんどの委任契約が有償・双務契約であり、特約をしなかった場合でも報酬請求権が認められる場合もあることから、もしかすると出題者はこの点を考慮して問題を作成しているのではないかと考えることもできます。
そうすると、肢(ア)は正しいもの(誤っていないもの)と判断することも、無理やりにできます

梶原塾では、出題意図を勘案し、選択肢「3 (イ)・(エ)」が正解番号になるものと考えていますが、選択肢「1 (ア)・(イ)」についても「民法の規定によれば、誤っているもののみの組合せ」に該当しますので、”複数解”とされる可能性もあると考えています。

※平成25年1月18日 合格発表時に、問6の正解肢は3、問29の正解肢は2と発表されました。
※平成25年2月15日 追加合格者の発表が行われ、問6の正解肢は3および1、問29の正解肢は2および3と発表されました。


【平成24年・問6・問題文全文】
[間6] 請負と委任の異同に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているもののみの組合せはどれか。
(ア) 請負も委任も、いずれも諾成の双務契約である。
(イ) 請負においては、請負人は請負に係る仕事を第三者に行わせることはできないが、委任においては、受任者は委託に係る法律行為を第三者に行わせることができる。
(ウ) 請負人は、仕事の目的物の引渡しと同時に報酬の支払いを請求することができるが、受任者は報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後に報酬を請求することができる。
(エ) 請負は、各当事者がいつでも契約を解除することができるが、委任は、委任事務の履行の着手前に限り、委任者のみが契約を解除することができる。 
1 (ア)・(イ)
2 (ア)・(ウ)
3 (イ)・(エ)
4 (ウ)・(エ)


※'12.12.09 12:35 加筆しました。

梶原塾 田中優彦

梶原塾 専任講師 田中優彦のブログ -宅建試験・管理業務主任者試験対策ブログ-

|

« 宅建試験/昭和63年から平成28年までの「試験問題(過去問題)と正解番号表」について | トップページ | 宅建試験・管理業務主任者試験対策/試験の難易度と試験問題の難易度について その1/2 »

■ 管理業務主任者試験/解答速報(講評・予想合格ライン・合格基準点・正解番号)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 宅建試験/昭和63年から平成28年までの「試験問題(過去問題)と正解番号表」について | トップページ | 宅建試験・管理業務主任者試験対策/試験の難易度と試験問題の難易度について その1/2 »