« 2009年3月 | トップページ | 2009年8月 »

2009年4月24日 (金)

実務の取扱いと宅建業法の規定が異なれば、それは宅建業法違反なのです。

「実務では違った取扱いをするので、宅建試験対策として学習する知識は、実務とは一致しない」旨のコメントを拝見することが多いですが、実務の取扱いと宅建業法の規定が異なれば、それは宅建業法違反を行っていることなります。

たとえば、よく引き合いに出されるのが、宅建業者が「媒介」で取引に関与する場合に受け取る「広告料」についてです。
「広告料」については、①依頼者の依頼によらずに行う広告料金に相当する額の報酬を受領しているような場合は、宅建業法の規定に違反することになりますが、②依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を報酬として受領することは宅建業法の規定に違反しません。

ですから、宅建業法の規定を理解している業者が「広告料」を受領する際には、②に該当させて、法令に違反することなく「広告料」を受領することになりますので、実務の取扱いと宅建業法の規定が異なるわけではないのです。
尚、依頼者の特別の依頼を得ていない場合や広告の実態がない場合や不相当な金額の場合などは、宅建業法違反となる可能性があります。


自ら売主8種制限などの規定についても同様です。
たとえば、宅建業者としてはクーリングオフ制度(37条の2)を適用されて「撤回・解除」されるのは好ましくありませんので、はじめから「適用除外となる場所」で契約行為等を行うのが通例です。
むしろ、真っ当な宅建業者であれば、クーリングオフの適用がある場所で契約行為等を行うことはないと思います。
この場合、宅建業法の規定に沿って、実務でクーリングオフの適用を排除しているわけですから、実務と宅建業法の規定が異なっているわけではないのです。

また、「手附金等の保全措置」に関しては、保全措置の手続きに時間を要すことを理由に、後日保全措置を講じることが実務上行われている場合もあるようです。
実務と宅建業法の規定が異なっている事例になります。
契約の締結と「手附金等」の受領は表裏一体の面がありますので、契約を優先するあまりの行為なのでしょうが、これは明らかに宅建業法の規定に違反します。

どうしても契約の締結を優先させるのであれば、例外規定に該当させるために、「手附金等の保全措置」が不要な範囲の金額のみを受領して契約を締結し、後日保全措置を講じた上で、残りの「手附金等」を受領することにすれば、宅建業法の規定に違反することなく「手附金等」を受領して契約を締結することができます。
もちろん、「手付」について信用の供与(貸与・後払い・分割払い等)をすることは、宅建業法の規定に違反しますので、中間金等として受領することで回避できます。

尚、「契約締結時に売買代金の10%以上を受領すること」等の社内規定を設けている場合などは、これを厳格に順守するよう指導すると、営業の現場で宅建業法の規定に違反する行為を行ってしまう可能性が高くなりますので注意が必要です。

「手附金等の保全措置」
原則 保全措置を講じた後でなければ、「手附金等」を受領することはできない
例外 未完成物件の場合、代金の5%以下かつ1,000万円以下の場合
    完成物件の場合、代金の10%以下かつ1,000万円以下の場合
    ※買主が所有権の登記をした場合も例外となる


宅建業法の規定をしっかり理解して業務にあたれば、変な言い訳をしなくても宅建業法違反に問われる可能性はないですし、宅建業法違反とならないように業務に関するマニュアルを作成して法令遵守(コンプライアンス)している宅建業者も多いです。
宅建業法は、「消費者保護」の規定であるのと同時に、法令を順守する宅建業者が安心して業務を行うことができるように手続きを規定した法律だと考えることもできます。

宅建業法の規定を理解できていないために、宅建業法に違反して業務を行っている業者も多いようです。
特に、営業マンレベルでは「知らなさすぎ」の感が否めません。
平成21年度から、「宅建試験の内容の構成変更(科目別出題数の変更)」が予定され、宅建業法からの出題が増えますが、業界の実態への対策なのだろうと推察しています。

» 宅建試験対策の学習法の完全合格マニュアルはこちら

梶原塾 田中優彦

梶原塾 専任講師 田中優彦のブログ -宅建試験・管理業務主任者試験対策ブログ-

| | コメント (0)

« 2009年3月 | トップページ | 2009年8月 »