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2007年3月 9日 (金)

宅建試験対策の「危険負担」についての学習

「権利関係法令の危険負担については、ほとんどの場合、民法のルール(規定)と異なる特約をするので、実務上、取引主任者が危険負担の民法のルールをお客様に説明することはまずない。そしてそのような理由から平成8年を最後に危険負担に関する出題はされていなし、宅建試験に合格するためには、ズバリ不要だ。」

との考え方があるようですが、梶原塾流に、「危険負担」をお題にして考えてみます。

まず、目的物が不動産(特定物)の場合の「危険負担」に関しておさらいしてみます。

「危険負担」とは、契約締結後、各債務が完全に履行される前に、売主(目的物引渡についての債務者)に帰責事由なくして(地震などによって)、目的物である不動産が滅失・損壊した場合の契約関係の処理に関しての規定です。

契約で特約をしなかった場合には民法の規定が適用されますので、買主側の立場で考えてみると、
①滅失であれば目的物である不動産は引き渡してもらえないのに、代金全額を支払わないといけなくなってしまいます。
また、②損壊であれば損壊した目的物と引き換えに代金全額を支払わなければならず、損壊した部分に相当する代金減額請求も認められません。

このように、民法の「危険負担」に関する規定は、買主にとって酷ですし、売主にとっても、事実上代金支払能力のない場合の多い買主との契約を引きずっていても好ましいことではないです。

そこで、「契約締結後、売主(債務者)に帰責事由なくして、目的物である不動産が滅失したときには、契約は解除される」旨の解除条件を付したり、「・・・・一定の場合には解除できる」旨の特約をするのが実務では一般的となっています。


ところで、「天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容」については、37条書面(契約書面)の法定記載事項とされていますが、35条書面(重要事項の説明)の法定記載事項とはされていませんので、宅建業法上の「取引主任者による説明義務」はありません。

しかし、実務上の取り扱いは、35条書面の中に任意に記載し、取引主任者が35条の法定記載事項と一緒に説明していることが一般的ですし、多くの業者が利用している不動産協会等が作成した35条書面の書式(雛型)にも「危険負担」についての記載があります。

たとえば、買主であるお客さんに対して、「特約をしなければ、民法の規定が適用されて、 (~上記参照~) なので、こういった内容の特約をします。」と、きちんと説明できれば、安心・納得しない買主はいないでしょう。

そこで、契約を締結するか否かの判断材料の提供をするために、最低限の「重要事項」の記載が義務付けられている35条の法定記載事項にプラスして説明すべき事項として、説明されることが多いです。


本題についてですが、「実務上、取引主任者が危険負担の民法のルールをお客様に説明することはまずない」との考えは、実務を知らない方が机上の空論をしているに過ぎないか、または、お世辞にも「説明」とはいえない「棒読み重説」を参考にしているかのどちらかです。

実際に、「棒読み重説」が原因で契約がキャンセルとなったり、契約締結後のトラブルを誘因したりする事例は少なくないです。
特に、契約締結後の業者と消費者との紛争については、契約の内容に問題があるのではなく、きちんと説明していれば紛争にならなかった事例が多いのではないかと経験上考えています。
民法のルール(規定)と異なる特約をする場合であっても、基本となる民法の知識を修得していなければ、「説明」などできるはずがありません。

また、「平成8年を最後に危険負担に関する出題はされていない」のは事実ですから、「ズバリ危険負担の学習をしなくても、効率的?に宅建試験に合格する事は可能」なのかも知れません。

けれども、梶原塾では、「危険負担」に関する項目は、理解しながら民法を学習するための材料としては、大切な項目のひとつだと考えていますので、しっかり理解して学習していただくことにしています。

たとえば、「危険負担」について学習することで、
①「目的物の滅失」という切り口での「理解する学習」が可能となります。
契約締結後、売主(債務者)に帰責事由があって、目的物である不動産が滅失した場合の「債務不履行」との比較や、目的物である不動産が契約締結前に滅失していた場合の「原始的不能」との比較学習も行うことができます。
また、②「所有権の移転時期」や「停止条件」などの知識を応用しながら、できるだけ理解して学習を行うことができます。

ですから、「危険負担」に関しての過去の出題実績や今後の出題可能性が低かったとしても、無駄な学習をすることにはならないですし、むしろ効果的な学習をすることができます。

このような学習法は、点の知識を線で結んでいく学習(=知識と知識にリンクを張っていく作業)の基本形でもあります。

せっかく時間をかけて学習するのなら、できるだけ理解して学習して、実務に就いても「使える取引主任者」になって欲しいですし、他の資格試験などの次へのステップにして欲しいと考えています。

» 宅建試験対策の学習法の完全合格マニュアルはこちら

投稿者: 梶原塾 田中優彦 Google

梶原塾 専任講師 田中優彦のブログ -宅建試験・管理業務主任者試験対策ブログ-

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